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東京メランコリズム【後編】

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 そして病院に着いた。出血が多過ぎたせいかユキは助からなかった。シンジは呆然とした。
「ユキちゃん…ユキちゃん…」
そう言ってシンジは泣いていた。ユキの葬儀にシンジの姿はなかった。ユキの死を認めたくなかったのだ。シンジはユキが死んだあと仕事を無断欠勤していた。もう解雇されてもいいと思っていた。何故なら好きな人を失ったせいか、他のことなどどうでもよくなっていたのだ。そして案の定、シンジは解雇された。シンジは毎晩のように泣いていた。

ユキ どうして僕を置いていったの?

ユキ どうして独りで逝ったの?

ユキ どうして僕を遺したの?

ユキ どうして独りで逝ったの?

ユキ どうして僕を独りにしたの?

ユキ どうして独りで逝ったの?

ユキ 君を愛しています

 「ねぇ、ユキ…会いたいよ。」
シンジの精神状態は明らかにおかしくなっていた。
「ユキ…好きだよ、ユキ。」
シンジは果物ナイフを手に取った。
「今から会いに行くよ…」
そうひとり言を言うと手に取った果物ナイフで左手首を切った。すると大量の血が辺りに散らかった。そのままシンジは倒れてしまった。

 翌朝、シンジは目が覚めた。ユキに会い行くことが出来なかったのだ。
「どうして?どうしてユキは拒むの?」
シンジにはユキの幻覚が見えていた。
「ねぇ、どうして?どうして会えないの?会いたいよ。」
シンジは必死にユキの幻覚に問いかけていた。

 それからシンジは精神科へ行くことにした。明らかに自分がおかしいことに気付いていたのだ。手遅れになる前にという思いがあったのだ。
「シンジさん、診察室へお入りください。」
そう呼ばれるとシンジは診察室へ入った。