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東京メランコリズム【後編】

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「今月いっぱいでもいいですか?」
「わかりました。それでは今月いっぱいはお願いね。」
「はい…突然すみません…」
そしてその月…一月いっぱいでユキは仕事を辞めることになった。所長も特に問い詰めることはなかった。決してユキの勤怠が悪い訳でもなかった。ただ倉庫の作業の職場というのは、退職者が多いものだったので特に問い詰めなかったのだった。

 そして一月三十一日、雪がちらついていた。仕事が終わりユキは職場のみんなへ挨拶を
した。
「短い間でしたがお世話になりました。」
「みなさん、ユキちゃんに拍手。」
すると拍手でユキは見送られた。

そして帰り道のことだった。
「ユキちゃん!」
シンジが呼びかけた。
「一緒に帰らない?」
「はい。最後ですからね。ふふふ。」
「寂しいな…」
「じゃあ、今日うちに来ますか?」
「え?いいの?」
「はい。もちろんですよ。」
それからふたりはユキの家へと向かった。

 「お邪魔します。」
「どうぞ。」
「薬…すごい量だね。」
「飲んでいませんからね。」
「大丈夫なの?」
「はい。私のことは私が一番わかってますから。」
「そっか。でも良くないんじゃない?」
「いいんです。そういう病気ですから。」
ユキは嘘をついた。
「そうなんだね…」
病気の知識がないシンジはユキが嘘をついていることに気付かなかった。
「コーヒー淹れますね。」
「うん。ありがとう。」
「シンジさんは蓮斗さんと同じブラックでしたよね?」
「うん…」
「私のはクリームと…砂糖を…」