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東京メランコリズム【後編】

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「本当は行きたくないんです。」
「でも行かないと。」
「そうなんです。先生に怒られちゃうんです…」
「僕も着いていこうか?」
「いいえ。ひとりで大丈夫です。」
「そう…」
「じゃあ、今日は帰りますね。」
「うん。駅まで送ろうか?」
「道覚えてるので大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
「わからなくなったら電話してね。」
「はい。ではまた…」
そう言うとユキは病院へ行った。

 「ユキさん、診察室へお入りください。」
そういつものように呼ばれると診察室へ入っていった。
「あれから調子はどうですか?」
お決まりの文句から始まった。いつもと同じだった。
「いつもと変わりありません。」
「そうですか…薬はちゃんと飲んでますか?」
「…はい。」
「嘘はつかないでくださいね。」
「嘘なんてついてません。」
「それなら良いのですが。」
「はい…」
「嘘ついていたら良くなるものも良くなりませんからね。」
「わかってます。」
「その後、彼とはどうですか?」
「上手くやってますよ。」
「そうですか…」
医師は思い切ってこう言った。
「ユキさん、あなたは恐らくサイコパスという精神疾患です。」
「サイコパス?」
「ええ。ただの鬱病ではありません。もちろん鬱病も併発しているのですが…」
「はぁ…」
「薬をちゃんと飲んでないこと、恐らく自傷行為をしていることもわかってますよ?腕を見せてもらえますか?」
そう言われるとユキは袖をまくった。ユキの腕はリストカットの痕でいっぱいだった。
「いつからですか?」
「蓮斗さんが死んでからです。」
「そうですか。辛いものは辛いと素直に言ってくださいね。」