東京メランコリズム【後編】
ユキ 君を愛しています
翌朝、あおいは警察に電話をかけた。
「私、人を殺しました。」
「え?」
「今から出頭します。」
そう言うとあおいは警察に出頭した。
「誰を殺したんですか?」
「シンジ…と初恋。」
「え?」
刑事は聞き直した。
「シンジという同棲してた彼氏と初恋です。」
「初恋の人を殺したのですか?」
「いいえ。だからシンジです。あと初恋。」
「…」
刑事は戸惑った様子だった。
「ふふ。私、悪いことしてないですよ。」
「いいえ。あなたは罪を犯しました。」
「シンジはユキさんと会うことを望んでいたから…」
「ユキさん?」
「はい。シンジが好きだった人です。ユキさんは自殺して亡くなったそうです。その人にずっと会いたがってましたから。」
あおいの所持品から精神科の診察券が見つかった。刑事はその病院の医師に話を聞くことにした。
「あのですね…あおいさんという方が、ある人…同棲していた彼氏を殺したんですが…」
「あぁ、あおいさんですね。彼女はサイコパスという精神疾患で通院していたんですよ。」
「そうだったのですね…」
「サイコパス…かぁ…」
あおいはユキと同じサイコパスだったのだ。それからあおいは精神鑑定にかけられることになった。
そしてシンジの葬儀が行われた。当然、そこにあおいの姿はなかった。出頭していたので、刑務所に入っていたという理由もあるが、例えそうでなくても恐らく葬儀には参列しなかっただろう。シンジが死んだという事実は理解していても、シンジが自分だけのモノになったという優越感で満たされていたからだ。わざわざそこでシンジと会う必要がないと思ったことだろう。
精神鑑定にかけられたあおいは間違いなくサイコパスだという結果が出た。サイコパスという結果が出たので責任能力が問われる。そのためどんな刑が出るのかは、裁判所や弁
作品名:東京メランコリズム【後編】 作家名:清家詩音