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東京メランコリズム【後編】

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「ごめんね、シンジ…」
すると果物ナイフの先が少しずつシンジの腹部へ突き刺さっていった。
「う…」
「すぐ終わるからね。私だけのモノになってね。」
「…」
「シンジ、大好きだよ。」
「…」
シンジは抵抗する様子もなかった。むしろ嬉しささえ覚えたのだった。これでユキに会える、そういう想いがあったのだ。
「あと少しで会える…」
シンジはこう言った。辺りは血塗れになっていた。それでもあおいは手を離さなかった。シンジは早くユキに会いたかった。
「ユキ…大好きだよ。」
「もうすぐユキさんに会えるよ、シンジ。」
「…」
「嬉しい?」
「う…」
「それでね、シンジは私だけのモノになるの。」
その時すでに果物ナイフの刃は、シンジの腹部の奥まで刺さっていた。
「…」
「これでお互いに幸せ…本当に幸せになれるんだよ。」
「ユ…キ…」
そしてシンジは血塗れになって床に倒れこんだ。
「シンジ…ユキさんとお幸せにね。ふふ。」
「…」
もうすでに息の止まったシンジからの返事はなかった。シンジを殺したあおいは悪びれる様子もなかった。それどころか少し満足気だった。

ユキ 僕もそっちへ逝くよ

ユキ やっと会えるね

ユキ 僕を覚えている?

ユキ やっと会えるね

ユキ 君の香りを探すよ

ユキ やっと会えるね