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東京メランコリズム【後編】

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「そっか。」
「とりあえず音楽止めるね。」
「うん。」
「良かった。本当に良かった。」
「ユキ…」
「私はあおいだよ。」
「ユキ…」
「シンジ!」
「ユキ…会いたいよ…」
「しっかりしてよ!」
「ユキ…」
「今日の薬は…?」
「ユキ…」
「え?これ…」
その日に処方された薬の入れ物のゴミをあおいは発見した。
「ねぇ、ユキ、会いたいよ。」
「これ全部飲んだの?」
「ユキ…」
「もうその名前は呼ばないで…」
「…」
シンジは少し正気を取り戻した。
「シンジ!大丈夫?」
「…う、うん。」
「良かった…」
「ユキ…」
「もう!やめてよ。これ以上、ユキって呼ばないで。」
「じゃあ、どうして僕と一緒に居るの?」
「シンジが好きだから。」
「じゃあ、病気のこともわかってよ。」
「わかってあげたいよ。でもこれ以上は私も限界かもしれない。」
あおいはハッキリとそう言った。
「僕のどこが好き?」
「…実はね、初恋の人に似てるの。」
「え?」
「ごめんね。どうしても言えなくて。私もシンジと同じなの。」
「そんなの嫌だよ。僕はシンジだよ。ユキが大好きな…」
「もう…限界…」
そう言うとあおいは果物ナイフを手に取った。その刃の先をシンジへと向けた。
「!」
シンジはそれに気付いたが何も言わなかった。