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東京メランコリズム【後編】

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「薬!ちょっと待っててね。」
そう言うとあおいは薬をシンジに飲ませた。しかし、シンジはその薬を飲み込まなかった。
「私、仕事行かないと…横になっててね。」
「うん。いってらっしゃい。」
そう言うとシンジは薬を吐き出して捨てた。朝以来、ユキの幻覚を見ることはなかった。しかし、その日シンジは一日中横になっていた。

 そして仕事が終わったあおいが帰ってきた。相変わらずシンジを心配した様子だった。
「ただいま。」
「おかえり。」
「調子はどう?」
「うん…」
「ちょっと顔色悪いよ?」
「大丈夫。」
「いいから横になってて。」
「うん。あのさ…」
「なぁに?」
「もう病院行かなくていいかな?」
「どうして?」
「たぶん治らない病気だから。」
「それなら尚更だよ。薬で症状を抑えないと。」
「それが嫌なんだよ。ずっと薬を飲み続けるなんて…」
「でも…」
「馬鹿馬鹿しいよ、こんな病気!」
「だから薬で症状を抑えて?ね?」
「…うん。」
シンジはあおいに嘘をついた。今朝の薬を吐き出して捨てたことも、その日の昼の薬も飲んでいないことも…するとあおいの携帯電話が鳴った。
「もしもし。」
「もしもし、あおい、久しぶりだね。」
あおいの母親からだった。
「どうしたの?」
「実はおじさんが亡くなったの。明後日お通夜だから帰ってこれない?」
「うん。大丈夫だよ。明日、職場に休む連絡して、明後日には行くようにするね。」
「ありがとう。」
そう言うと電話が終わり、この件をシンジに話した。
「シンジ、おじさんが亡くなったみたいで…」
「そう…」
「一週間ぐらい実家へ帰らないといけなくなったんだ。」
「そっか…」