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東京メランコリズム【後編】

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うに、シンジはあおいの髪を触りキスをした。少しずつ舌を入れて絡めた。ユキと同じ味がした。コーヒーのせいだろうか。それともユキに似ているからだろうか。そう感じたシンジはあおいの身体を少しずつ触り始めた。あおいはすごく嬉しそうな表情を浮かべていた。それを見たシンジは、自分が好かれていると確信した。そしてふたりはひとつになった。
「ねぇ、あおいさん…」
「なぁに?」
「僕と付き合ってくれる?」
「はい…」
あおいはひとつ返事でそう返した。
「本当に?」
「ほーんーとー!」
「あはは。あおいさん可愛いよ。」
「そう?たまに言われる。」
「自分で言っちゃう?」
「うん。」
ふたりは幸せだった。ただシンジはやはりあおいにユキを重ねていたのだ。しかし、それを決して口にすることはなかった。口にすればふたりの関係は壊れてしまう…それがわかっていたからだ。そして翌朝、ふたりはホテルを後にして、あおいは仕事へ、シンジは通院の日だったので病院へ向かったのだった。

 病院へ着いたシンジはいつものように呼ばれた。
「シンジさん、診察室へお入りください。」
「はい。」
そしてシンジは診察室へ入った。
「その後、調子はいかがですか?」
「調子は良いと思います。」
「ユキさんの幻覚は?」
「最近はなくなりました。」
「何かありましたか?」
「はい。彼女が出来ました。」
「そうですか。良かったですね。」
「はい。ユキにそっくりな子なんです。」
「それは良かったですね。」
「はい。」
「では少し薬を減らしていきましょうか。」
「え?いいんですか?」
「はい。真面目に治療をしている方には、こちらもそういう対応をさせてもらってます。」
「そうですか…良かった…」
「それでは次からは二週間に一度にしましょう。」