小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

東京メランコリズム【後編】

INDEX|10ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

「来週の火曜日なら大丈夫です。」
シンジは返信をした。
「じゃあ、来週の火曜日に町田に十三時でいいですか?」
シンジは嬉しさのあまり、半ば強引に場所と時間を提示した。するとあおいから返信が来た。
「はい。ではその時間で。」

 そして火曜日の十三時にふたりは合流した。そしてあおいが働いてる喫茶店とは別の喫茶店に入った。
「はじめまして…じゃないですね。僕はシンジと言います。」
「私はあおいです。この前、名札見せましたよね?」
「はい。覚えてますよ。」
ふたりはコーヒーを注文した。すぐにコーヒーが運ばれてきた。シンジはブラックで、あおいはクリームと砂糖を少しだけ入れていた。ユキにそっくりだった。ユキにそっくりなあおいに、シンジはふたりを重ねて見ていたのだった。
「あのシンジさん、聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「どうして私をユキと呼んだのですか?」
「あの…実は好きだった…好きな人にそっくりで…すみません。」
「元カノさんとかですか?」
「いえ。付き合ってはいませんでした。片想いでした。」
「そうだったんですね…」
「それで…」
「それで?」
「僕の目の前で自殺しました。」
「え…」
シンジは一瞬、言わない方が良かったかと思った。
「私、ユキさんに似てますか?」
「はい。見間違えるぐらいですから。あとコーヒーに入れたクリームと砂糖とか…」
「そうですか…」
「はい。すみません。」
「ただひとつだけ言わせてください。」
「何ですか?」
「私はシンジさんと会いたいと思ったから会ったんです。だからユキさんを重ねないで欲しいんです。」
「はい。似てるとは思いますが重ねてはいません。ユキはもうこの世には居ませんから。」
シンジは嘘をついた。明らかに似ているユキとあおいを重ねて見ていたからだ。
「それなら良かった。」
「あおいさん、おいくつなんですか?」
「私は二十五歳です。」