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東京メランコリズム【中編】

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 それから夏も終わり、季節はすっかり秋めいてきた。緑の季節も終わり、紅葉が綺麗な季節が訪れた。
 蓮斗は春子のように処方された通りに薬を飲まず、調子の悪い時にだけオーバードーズをし、リストカットをする、そんな癖がついていた。春子の幻聴は少なくなったものの、それでもたまに聞こえていた。
「ねぇ、春子…どうすればまた会えるかな?なつさんも死んじゃったんだよ。春子と同じ死に方で…」
蓮斗はこのようにもうこの世には居ない春子に話しかける癖もついていた。そんなある日のこと、五年ほど前に別れた秋江から電話がきた。

 「もしもし。」
「もしもし。秋江だよね?」
「うん。元気?」
「元気と言えば元気かな…」
「なにそれ…」
「どうしたの?」
「ううん。特に用事はないんだけど、元気かなと思って。」
「そっか。実は今ね、通院してるんだ。」
「どこか悪いの?」
「うん…精神科なんだけどね。」
「え?何かあったの?」
「色々あってね…」
「色々?」
「うん…」
「話してくれる?」
「春子っていう彼女が居たんだ…」
「それで?」
「自殺しちゃったんだよ…」
「え…」
秋江は聞いてはいけないことを聞いてしまったと思った。
「それで春子の幻聴が聞こえるようになって…」
「病気?」
「うん。統合失調症っていう病気になった。」
「…」
秋江は病気にはそれほど詳しい訳ではないが、統合失調症という病名は聞いたことがあった。しかし、具体的な症状や治療などは知らなかった。
「それから彼女ではないんだけど、僕に好意を寄せてくれていたなつさんっていう子が…」
「なつさんがどうしたの?」
「理由ははっきりわからないけど自殺した…」