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東京メランコリズム【中編】

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ユキは珍しく気遣って声をかけた。
「はい。有田さんのおかげで順調です。」
「そう。それなら良かったですね。」
「あの…お名前…」
「私、ユキです。好きなように呼んでください。二十歳です。」
「僕は…」
「シンジさんでしょ?朝、紹介があったから知ってますよ。」
「ああ…ユキさんまだお若いんですね。」
「シンジさんはおいくつですか?」
「二十八歳です。」
「じゃあ、蓮斗さんと同じですね。」
「蓮斗さん?」
「少し前までここで働いてた方です。」
「辞められたのですか?」
「いいえ。自殺しました。」
「え…」
シンジは聞いてはいけなことを聞いてしまったと思った。
「それで私だけのモノになりました。」
「え…」
シンジはユキの発言に戸惑っていた。
「私、変ですか?」
「いいえ…少し変わっているだけだと思います。」
「シンジさん、少し蓮斗さんに似ています。」
「そうですか…」
「今日、一緒に帰りませんか?」
「…はい。」
正直、シンジはどうしたら良いのか困っていた。そうこう話しているうちに休憩時間が終わった。すると純子がシンジに声をかけた。
「シンジくんちょっと待って!あの子、気をつけな?」
「どうしてですか?」
「何か不穏と言ったら失礼だけど、何かある気がするのよ。」
「はぁ…」
「この話は誰にも言わないでくださいね。」
「はい…」
そう言うと純子はシンジの前から去っていった。

その日シンジは有田にずっと仕事を教わり、黙々と作業をこなしていた。ユキは相変わらずといった感じだった。

 仕事が終わり約束通り、ユキはシンジと一緒に帰った。