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東京メランコリズム【中編】

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「そうですか。また蓮斗さんみたいな方が来るといいですね。」
「…そうだね。」

 そして仕事が始まり、休憩時間に入るとユキはひとりで昼食を取っていた。蓮斗が死ぬまでは蓮斗と昼食を取っていたのだ。しかし、今ではひとりだった。それでも寂しそうな表情を浮かべることもなく、いつもニコニコしていた。するとある年配の女性がユキに声をかけた。
「蓮斗くん死んじゃって寂しくないの?」
「いいえ。私は大丈夫ですよ。」
「そう…でも…」
「でも?なんですか?」
「ほら、仲良くしていたじゃない?」
「はい。でも寂しくはないですから…」
「そう…それならいいのよ。」
「私は大丈夫ですから。」
「本当に?」
「はい。」
「無理はしないようにね。」
「ありがとうございます。」
年配の女性はユキが無理をしているのではないかと思っていた。ユキが喜んでいることなど誰も知るよしもなかった。休憩時間が終わり、ユキは仕事へ戻った。

 ユキが通院の日が訪れた。しかし、ユキは病院へは行かなかった。自分はどこも悪くない、そう思っていたからだ。蓮斗が死んでからというもの、ユキは好きな人が自分のモノになったという感覚で満たされていたのだった。だから通院の日も調子が良いと思っていたのだ。するとユキの携帯電話が鳴った。病院からだった。
「もしもし太田クリニックですが…」
「はい。」
「ユキさん、診察の時間が過ぎているのでご連絡を差し上げたのですが。」
「私、調子良いので行かなくてもいいかなと思って…」
「ダメですよ。今からでもいいので来てください。」
「…どうしてもですか?」
「はい。」
「じゃあ、今から向かいます。」
「必ず来てくださいね。」
「…はい。」
そう言うと化粧をして着替えて、渋々とユキは病院へ向かった。そしてユキは病院へ着いた。

 「ユキさん、ちゃんと診察の日は来てくださいね。」