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東京メランコリズム【中編】

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「大好きな人が私だけのモノになりました。」
「それは良かったですね。良いお付き合いが出来るといいですね。」
「はい。」
「どんな方ですか?」
「とても仕事が出来て素敵な方です。統合失調症ですか?その病気みたいです。」
「統合失調症ですか…大変ですね。」
「ただ…」
「ただ?」
「もうこの世には居ません。」
「え?」
「数日前に自殺しましたから。」
「…」
医師は返す言葉に困った。
「私、変ですか?」
「え…いえ、そんなことないですよ。」
医師はユキがただの鬱病ではないと感じざるを得なかった。
「そうですか?それなら良かった。私、変じゃないですか?」
「…とりあえず、いつもの薬に追加して別の薬も出しておきますので様子を見ましょう。」
「薬、増えるんですか?」
「ええ。念のために。」
「私、やっぱり変ですか?」
「いいえ。そうではないですよ。念のためにです。」
「良かった…」
「次回は二週間後に来てください。必ずですよ。ユキさんはいつも診察日に来ませんから。」
「やっぱり来ないとダメですよね…」
「そうですよ!ちゃんと来てください。お待ちしてますから。」
そう言うとユキは診察室から出た。処方箋をもらい薬をもらった。新しい薬が追加されているのは一目瞭然だった。明らかに量が多過ぎたからだ。

 ユキは処方された通りに薬を飲むことはなかった。調子の悪い時にオーバードーズが出来るように手持ちの薬が欲しかったのだ。新しい薬がどんな薬なのか楽しみだった部分もあった。
 家へ帰るとその薬がどんな薬か調べた。どうやらただの精神安定剤のようだった。ユキは正直つまらなかった。これだとオーバードーズをしても、以前と大して変わらないと思ったからだった。そして翌日、ユキはいつものように仕事へ行った。

 「おはようございます。」
「ユキちゃん、おはよう。」
「蓮斗さん死んじゃったから新しい人は入るんですか?」
「そうだね。ただでさえ人手不足だからね。」