東京メランコリズム【中編】
話しかけた。
「蓮斗さん。これで私だけのモノになりますね。すごく嬉しいです。私ね、今すごく幸せですよ。他の人から見たら変かもしれないですけどね。ふふふ。」
そしてユキは平然とした様子で所長に電話をした。
「もしもしユキです。」
「はい。所長です。蓮斗くんどうだった?」
「なんか自殺…してたみたいで…」
「え?…」
「脈もないし、心臓も止まってるみたいです。」
「救急車を呼んで!」
「はい。」
それからユキは救急車を呼んだ。救急隊員の話では、出血性ショック死とのことだった。
そして蓮斗の葬儀が行われたが、そこにユキの姿はなかった。春子となつの葬儀に蓮斗が参列しなかったように…
蓮斗さん やっと私だけのモノになってくれましたね
蓮斗さん 私ね すごく嬉しいの
蓮斗さん やっと私だけのモノになってくれましたね
蓮斗さん 私ね すごく楽しいの
蓮斗さん やっと私だけのモノになってくれましたね
蓮斗さん 私ね すごく幸せなの
蓮斗さん 貴方が私だけのモノになってくれたから
それからユキが診察の日が訪れた。
「ユキさん、診察室へお入りください。」
するとユキは診察室へ入った。
「調子はどうですか?」
医師はユキが嘘の報告しかしないことをわかっていた。
「調子ですか?とても気分がいいんです。」
いつもと違うユキの返答に医師は戸惑った。
「何か良いことでもありましたか?」
「はい。とても良いことがあったんです。」
「それは何か教えてもらえますか?」
作品名:東京メランコリズム【中編】 作家名:清家詩音