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東京メランコリズム【中編】

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た。欠勤は初めてのことだった。
「もしもし蓮斗です。おはようございます。」
「ああ、おはよう。どうした?」
「体調が悪いのでお休みさせて頂きたいのですが…」
「うん。わかったよ。お大事にね。」
そう電話をすると蓮斗はまた横になった。
「春子、ねぇ…どこに居るの?」
蓮斗は春子の面影を探すようになっていた。
「僕はどうすればいいの?」
春子からの返事はなかった。実は蓮斗はなつに勧められるまで薬を飲んでいなかったのだ。そう、春子と同じように…そうすることによって、蓮斗はいつかどこかで春子に会える、そんな気がしていたのだった。それからも蓮斗は処方された通りに薬を飲むことはなかった。

 翌日、体調の悪さを感じなくなった蓮斗は仕事へ行った。この日の朝は蓮斗は春子の面影を探したりすることはなかった。
「おはようございます。昨日はすみませんでした。」
「体調はもう大丈夫?」
「はい。大丈夫です。」
「無理はしないようにね。」
「はい。ありがとうございます。」
そして仕事が始まった。いつもと同じように黙々と作業をこなしていた。仕事が好きという訳ではなかったが、集中力のある蓮斗はそうすることで、例え短い時間でも春子のことを忘れられる気がしたのだった。そして休憩時間になり、なつと昼食を食べていた。
「蓮斗くん、薬飲んでる?よね?」
なつはまた周りを気遣い小声で聞いた。
「…」
「やっぱり!ちゃんと飲まないと症状も抑えられないよ?」
なつの声が少しばかり大きくなった。
「うん。わかってはいるんだ。でも…」
「でも?」
「春子はそうやって調整してた。」
「だから春子さんんは悪化したんじゃないの?」
「でも春子はそれで平気そうな日もあったよ。」
「だから悪化したんだよ。私でもわかるよ。」
「だけど…」
「もう一度言うね。だから悪化したんじゃないの?」
「たぶん…」
「じゃあ、どうして?」
「春子に会えるかなと思って…」