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東京メランコリズム【中編】

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「なんか違和感あるな。」
「そう?」
「私のが年下なんだし気にしないで。」
「うん。でも先輩だから。」
「職場ではね…でももう敬語はやめようよ。」
「うん。」
「あ、もちろん職場でもね!」
「いいの?」
「もちろんだよ。」
「じゃあ、そうするね。」
「蓮斗くんもその方が話し易いでしょ?」
「そうだね。」
「でしょ?」
「でもやっぱり職場では敬語の方がいいよね?」
「誰も気にしないよ、そんなこと。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。」
「だから職場でもこれからは敬語使わなくていいよ。」
「うん。」

そして夜になり、蓮斗はなつを送っていこうとしたその時だった。どこからか春子が蓮斗を呼ぶ声が聞こえたのだった。それは薄っすらと頼りないものだったが、蓮斗の耳にはハッキリと聞こえた。
「蓮斗…蓮斗…」
「春子!」
蓮斗には確かに春子の声が聞こえた。
「蓮斗くん、幻聴だよ!」
「いや、でも確かに…聞こえたでしょ?なつさんにも…」
「ううん。私には聞こえないよ。」
「でも…」
「蓮斗くん、薬は?」
「これです。」
そう言うとなつは蓮斗に薬を飲ませ、ベッドへ寝かせた。
「少しゆっくりしなよ。ね?」
「うん。」
気付くと蓮斗は眠っていた。その間に置手紙を残しなつは帰っていった。
置手紙には「お大事にね。」と一言だけ書かれていた。なつのそんな優しさに蓮斗は少し惹かれ始めていたが、やはり春子への想いの方が勝っていた。

 週末が明け、また仕事へ行く日が訪れたが、蓮斗は体調不良を理由に欠勤することにし