東京メランコリズム【中編】
蓮斗がまだ春子を想っていること、なつと秋江に救われていたこと、ユキはそれに気付いているかのようだった。
「寂しさを紛らわすためですよね?それでもいいんです。」
「どうして?」
「蓮斗さんが好きだからです。」
とっくに蓮斗は気付いていたので驚くことはなかった。
「そっか。ありがとう。なんかごめんね。」
「謝らないでください。」
「でも…」
「いいんです、私。二番目でも良かったんです。」
「それは流石に良くないよ。」
「そうですか…」
「それならいつか一番になってみせます。」
「うん。」
「頑張ります!」
ユキの言葉に蓮斗は少なからず救われた。春子となつと秋江という大切な人を失ったショックが大きかっただけに…
その日からまた蓮斗はオーバードーズやリストカットをするようになってしまった。秋江と別れたショックが大きかったのだ。
そんなある日、蓮斗はリストカットをすると、いつも以上の出血に驚いた。しかし、何故か妙に落ち着いていた。出血の量は今までにないほどだった。そしてオーバードーズをして、眠くなるのを待っていた。少しすると薬の副作用の眠気と睡眠薬の眠気が蓮斗を襲った。そしてそのまま蓮斗は眠りについた…
翌日、職場に蓮斗の姿はなかった。すると所長がこう言った。
「ユキちゃん、蓮斗くんと連絡取れる?」
「はい、たぶん…」
「電話に出ないんだよ。」
「え?」
「ちょっと家まで様子を見てきて欲しいんだけど…」
「はい。行ってきます。」
そう言うとユキは蓮斗の家へ向かった。妙な予感だけが脳裏をよぎった。そしてユキは蓮斗の家へ着いた。インターホンを鳴らしたが蓮斗が出る様子はなかった。そしてドアノブを捻ると鍵が開いていたのでユキは入っていった。
するとそこには血塗れになって倒れている蓮斗の姿があった。
「蓮斗さん!」
蓮斗から返事はなかった。蓮斗はすでに出血多量で死んでいた。蓮斗の死体にユキはこう
作品名:東京メランコリズム【中編】 作家名:清家詩音