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東京メランコリズム【中編】

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「うん。二十八歳にもなって…ね。」
「ユキさんはそんなことなさそうだね。いくつなの?」
「私は二十歳です。」
「やっぱり若かったんだね。でもしっかりしてるよね。」
「そんなぁ、とんでもないです。」
「もう来週ぐらいから一人でも仕事出来そうだね。」
「そうですか?ちょっと不安です。」
「みんなそう言うよ。僕もそうだったから。」
そんな会話をしているうちに休憩時間は終わった。相変わらずユキの仕事の覚えは早かった。そしてその日の仕事が終わるとユキが僕に声をかけてきた。

 「蓮斗さん!」
「どうしたの?」
「一緒に帰りませんか?駅まででいいので。」
「いいよ。」
そしてふたりは一緒に駅まで行くことになった。
「ユキさんは家どこなの?」
「私は新百合ヶ丘です。」
「じゃあ職場からは近いね。僕は町田なんだ。」
「結構遠いですね。」
「うん。」
「蓮斗さん、質問です!」
「ん?」
「彼女さんは居ますか?」
「え?うん。今は同棲してるよ。」
「…そうですか…」
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです。」
「そう?」
「はい!」
「急にどうしたの?」
「いえ…」
そして駅に着いて途中まで同じ電車に乗った。ユキが降りる駅に着くと一言こう言った。
「私、負けません!」
「え?」
そう言うと電車の扉は閉まった。流石の蓮斗もユキの気持ちに気付いた。そして蓮斗は家路へと着いた。その間、ユキの台詞がずっと脳裏をよぎっていた。春子のことが少し頭から離れていた。そんな気さえしたのだった。

 家へ着いた蓮斗は秋江の帰りを待っていた。それから一時間ほどして秋江が帰って来た。