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東京メランコリズム【前編】

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「うん。趣味みたいなものだよ。あ、ニルバーナを聴く以外の趣味があったかも…」
「そうだよ、それは趣味だよ。ふふふ。」
「そうかなぁ…」
「でも楽しいよね、街をふらふらするの。」
そう言ってふたりは街をふらふらと歩いた。特に何をする訳でもなく、ただただ街を歩いた。すると春子はこう言った。
「ねぇ、私の彼氏になって…」
突然の発言だった。
「え?」
蓮斗は思わず聞き返した。
「ダメ?かなぁ…」
「僕で良ければ…」
蓮斗は嬉しかった。ふたりは付き合うことになった。そして春子はこう言った。
「今日、うちに来ない?」
「いいの?」
「うん。散らかってるけど。」
「うちよりは綺麗でしょ?」
「蓮斗の家の方が綺麗だと思うよ。」
「そうかな。」
「そんなことないよ。」
そんな会話がふたりの間で続いた。陽も暮れてきた頃、ふたりは初めて会った場所を後にした。そして電車の中でこんな会話をしていた。
「蓮斗の両親てどんな人?」
「僕が子供の頃に事故で死んじゃったんだ…」
春子は聞いてはいけないことを聞いてしまったと思った。
「ごめんね…」
「謝ることないよ。気にしないで。」
「うん…」
「春子の両親はどんな人?」
「私の両親は…普通かな。」
「そっか。」
「蓮斗…聞いてもいい?」
春子は先に触れてもいいものか聞いてきた。
「いいよ。」
「蓮斗はどうやって育ってきたの?」
「孤児院で育ったんだ。」
「そうだったんだ。」
「うん。両親亡くしてるけどグレなかったよ。」
「そうだね。良い子に育ったんだね。」
「両親居ないとグレる人多いでしょ?」