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東京メランコリズム【前編】

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そう言うとふたりは喫茶店へ入った。ふたりはコーヒーを、それと蓮斗はパスタを注文した。
「久しぶりだね。体調はどう?」
「最近は順調だよ。」
「そっか。それなら良かった。躁状態の時って自分ではわかるの?」
蓮斗は思い切って聞いてみた。
「うーん…躁状態の時って自分ではよくわからないんだ。」
「なんか何でも出来る錯覚に陥るというか…そんな感じなんでしょ?」
「調べてくれたの?」
「うん、少しだけどね。」
「ありがとう。」
そうすると注文したコーヒーとパスタが運ばれてきた。蓮斗はブラックで、春子はクリームと砂糖を大量に入れていた。前回と同じだった。
「いただきます。」
蓮斗はパスタを食べ始めた。
「召し上がれ。ふふふ。パスタは美味しい?」
まだ一口しか食べていない蓮斗に春子は質問をした。
「うん。美味しいよ。」
「そう?それなら良かった。」
「春子と居るとなんか楽しいよ。」
「私も蓮斗と居るとなんか楽しい。」
恐らく春子も蓮斗に惹かれているのだろう。そんな発言だった。
「なんか良い関係だよね。」
「そうだね。お互いに楽しいのは良いことだもんね。」
店内が少し暑かったせいか、春子は上着を脱いだ。半袖を着ていた春子の左腕には薄いものの傷痕がたくさんあった。春子が右利きだということがわかった。
「腕…」
「あ、ごめんなさい。」
「謝ることないよ。」
「一度やると癖になっちゃうの。」
「そうなんだ。こんなこと言うのもなんだけどさ、もうやめなよ。」
「そうだよね…自分ではわかってるんだけどやめられないんだ。」
「そっか…」
蓮斗はそれ以上、何も言えなかった。パスタを食べ終え、コーヒーを飲み終えたふたりは喫茶店を後にした。

 「どこかふらふらしようか。」
「うん。ふらふらするのは好き?」
「うん。毎日のようにふらふらしてるかね。」
「そうなの?」