小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

東京メランコリズム【前編】

INDEX|3ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

「お仕事は何をしているんですか?」
「私はレストランのホールのアルバイトをしています。蓮斗さんは?」
「僕は今は仕事していないんですよ。」
「あ、すみません…」
「いいえ。謝ることなんてないですよ。」
「変なことを聞いてしまったなと思いまして。」
「いいえ。事実ですから。」
「そうですか?」
「お仕事を探されている最中ですか?」
「はい…」
蓮斗は特に仕事を探していた訳ではなかったが、とりあえずそう答えた。
「…そうなんですね。どんなお仕事を探されているのですか?」
「何か自分に合うことがあればいいなと…」
「そうですか。合う仕事があるといいですね。」
そうこう話しているうちに注文したコーヒーが運ばれてきた。蓮斗はブラックで、春子はクリームと砂糖を大量に入れていた。
「そんなに入れるんですか?」
「ええ。私、苦いコーヒーは苦手なんです。」
「そうですか…僕は甘いコーヒーが苦手なんですよ。」
「大人ですね。」
「そうですか?でもコーヒー苦手なら他の物を注文すれば…」
「いえ、それでもコーヒーが好きなんです。甘いコーヒーが…」
そんな会話をしながらふたりはコーヒーを飲んだ。
「良かったらメールアドレス交換しませんか?」
春子はそう蓮斗に言った。
「はい。もちろんいいですよ。」
「私のアドレスは…」
「ではあとでメールを送りますね。」
そしてふたりは電話番号とメールアドレスを交換して喫茶店を後にした。

 蓮斗は春子の誠実なところに少なからず惹かれていた。喫茶店を後にした春子は家路へと着いたが、蓮斗は帰らずに東京の街をふらふらと歩いていた。特に行く当てもなくただただ歩いていた。すると蓮斗の携帯電話が鳴った。春子からだった。蓮斗は電話を取った。
「もしもし蓮斗さん?」
「はい。蓮斗です。」
「今日はどうもありがとうございました。またご一緒してくださいね。」
「はい。是非。」
「あ、私、年下ですし敬語とか使わなくていいですよ。」
「はい。じゃあ、そうするね。春子さんも気にしなくていいよ。」
「ではお言葉に甘えて…」