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東京メランコリズム【前編】

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「はい。」
蓮斗は正直な気持ちをなつに話した。なつならきっとわかってくれると思ったからだ。今となっては蓮斗にとってなつは大きな存在…支えのようだった。
「そうだったんだ…」
「あ、外も涼しくなってきてそうだし、少し散歩でもしませんか?」
「うん。そしたら私帰るね。」
「はい。」
そう言うとふたりは少しばかり涼しくなった夏の夜を散歩して、蓮斗はなつを駅まで送っていった。
「じゃあ、また職場で…」
「はい。今日はありがとうございました。」
そしてなつは家路へと着いた。

 そして週末も明け、蓮斗はまた仕事へ行った。相変わらず教育係のなつに仕事を教わっていた。しかし、仕事覚えが良かったせいもあり、その週の半ばから蓮斗は一人で仕事をするようになった。昼食は相変わらずなつと食べていたが、今までとは違いどことなくふたりの間の空気は重たかった。
「ねぇ、なつさん、気にしないでくださいね。」
「ありがとう。」
「また遊んでくれますか?」
「私で良ければ…」
「是非、お願いします。」
「良かったぁ。」
そう言うと場の空気は少し明るくなった。蓮斗は春子の自殺の件を話したことを気にしていたのだ。
「今週末は空いてる?」
「はい。」
「じゃあ、今週末にしようか。」
「いいですよ。」
「場所と時間はどうしようか…」
「また町田でもいいですか?」
「うん。いいよ。」
「じゃあ、町田に十三時でお願いします。」
「了解!」
そして週末に会う約束をしたのだった。蓮斗は気まずさを隠すことで精一杯だったので、また同じ場所の町田を提案してしまったのだ。特に用事がある訳でもなく、また映画が観たい訳でもなかった。ただ自分の住んでいる街だった、それだけの理由で町田を提案したのだった。

 週末、蓮斗は朝起きるといつもと様子が違うことに気付いた。そこに春子が居た…そん