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東京メランコリズム【前編】

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さえなかった。途方に暮れた蓮斗は軽い引きこもり状態になっていた。そんな日が何日も続いた。蓮斗はニルバーナの音楽を聴くことで落ち着こうとしていたが、同じくニルバーナが好きだった春子のことをたまに思い出しては泣いていた。春子もニルバーナが好きだったせいもあっただろう。それでも蓮斗はニルバーナの音楽を聴くことをやめることはなかった。

春子 今どこに居ますか?

春子 今何をしていますか?

春子 今誰と居ますか?

春子 今幸せですか?

春子 僕を覚えていますか?

春子 僕と会いたいですか?

春子 どうしたら会えますか?

 梅雨も明け夏がやってきた。外からは五月蝿いぐらいの蝉時雨が聞こえた。蓮斗はまだ春子のことを引きずっていたが、少しずつ平穏を取り戻していた。そんな蓮斗は気を紛らわすためか定職に就こうと考え仕事を探し始めていた。求人誌を見ていると蓮斗にも出来そうな仕事を見つけた。そしてそこで働こうと考えたのだった。そしてそこへ電話をかけた。
「お忙しいところすみません。求人誌を見て電話をしたのですが、担当者の方はいらっしゃいますか?」
「お電話ありがとうございます。ただいま代わるので少々お待ちください。」
そして一分ほど待つと担当者が電話に出た。
「もしもしお電話代わりました。」
「あの、求人誌を見てお電話したのですが…」
「アルバイトですか?」
「はい。」
「それでは面接をしたいと思いますので明日の十五時はいかがでしょうか?」
「はい。大丈夫です。」
「それでは履歴書をご持参ください。」
「はい。わかりました。それでは失礼します。」
そう言うと電話を切った。そして蓮斗は履歴書を買い証明写真を撮るために地元のコンビニへ行った。