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東京メランコリズム【前編】

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 「ねぇ、蓮斗、今日泊まっていく?」
「いいの?」
「うん。」
「嬉しいな。」
「…」
「私ね、蓮斗が好き。」
「僕も春子が好きだよ。だからちょっときついこと言ったのかもしれない。」
「そんなことないよ。蓮斗が私を想ってくれたから言ってくれたんでしょ?」
「うん。」
「蓮斗…」
「なぁに?」
「ありがとう…」
すると春子は蓮斗にキスをした。そして口の奥深くまで下を入れ舐め合った。蓮斗は少しずつ春子の身体に触れていった。春子は拒むことなく嬉しそうな表情を浮かべていた。好きな人に触れられる、それが春子にとって、女性には幸せと呼べる、そういうものだと蓮斗は思った。それからふたりはひとつになった。

 それからその一日に疲れた蓮斗は気付くと眠ってしまっていた。心配な春子をよそに…これが不覚だったのだ。

 翌朝、蓮斗は春子よりも先に目覚めた。偶然、春子の薬の入った袋に目が留まった。昨日よりも明らかに大量に減っていたのだ。恐らく蓮斗が眠ったあとに春子がオーバードーズをしたのだろう。蓮斗との約束は破られたのだった。わずか一日も持つことなく。すると春子も目を覚ました。蓮斗は問いただした。
「オーバードーズ…したの?」
「…」
「ねぇ、したの?」
「…」
「ねぇ、答えてよ。約束したじゃん。」
「ごめんなさい。どうしても辛くなっちゃって。」
「薬は僕が管理するよ。」
「ごめんなさい。」
「昨夜オーバードーズしたのは僕のせい?」
「ううん。ただ辛くなっちゃって。」
「何がそんなに辛かったの?」
「わからない。」
「腕見せて。」
「…」
春子は長袖の部屋着をまくり、蓮斗に左腕を見せた。案の定、ゴミ箱からカッターを取り