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オヤジ達の白球 56話~60話

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 強い風が畑の土をまきあげる。
風下の一帯に、土ぼこりの黄色いカーテンをひろげていく。
アスファルトの道路を、砂利や砂が横断していく。
土のグランドならなおさらだ。
風上にむかって目をあけていられない。ひどいときは背中を向けて歩くようだ。

 12月の半ばに忘年会を済ませた居酒屋のチームが、年の瀬の休眠へはいる。
そのまま年が暮れていく。
年が明けると、例年になく寒い1月がやってきた。
1月のなかば。赤城の峰を越えた雪雲が、山裾に風花を運んできた。
畑にうっすらと白い花が咲く。

 2月。節分が過ぎる。
この頃になるとストーブ・リーグに飽きた男たちが、祐介の居酒屋へ
集まって来る。
そろそろ身体を動かしたいとやってくる。
そんな気配を察した陽子が、バッティングセンターを見つけ出してきた。

 「ソフトボール専用のバッティング・センター?。
 初耳だなぁ。そんな物があったっけか、こんなド田舎の町に・・・」

 「町はずれに古びた、遺構のようなゲームセンターがあるでしょ。
 あそこ。むかし、ソフトボール専門のバッティング・センターだったのょ」

 「過去形だな。機械は大丈夫か?。
 錆びついていて動かないんじゃないか、もしかして」

 「2台あるわ。ソフトボールのマシーンが。
 さいきん手入れをしたというから動くらしいの。
 どう。凄い情報でしょ!」