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オヤジ達の白球 56話~60話

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 「喧嘩がはじまるかと思ったら、その前にみなさん、退散したわね。
 北海の熊さんたら、そうとう頭にきているのね。
 敵前逃亡した坂上くんのことで」
 
 「熊か。やっこさんはまだ、謹慎が解けたとはいえ保釈中の身だ。
 ここで喧嘩をはじめたらはまずいだろう」

 「そういえば役員さんたちが、チームをほめていたわ」

 「褒めていた?。
 俺たちのチームをか?。
 呑んべェ軍団の割に、よく健闘したとでも言っていたか?」

 「1塁へ全力で疾走する姿が新鮮だって、
 役員さんたちが褒めていました」

 「1塁へ全力疾走?。
 当たり前だ。
 どんな当たりだろうとセーフになるため、真剣に走るだろう」

 「そうでもないのよ。
 マンネリ化がすすむとアウトだと思い、1塁まで全力で
 走らなくなるんですって。
 アウトと言われるまでは何が起こるかわからないのに。
 途中で走るのをあきらめて、自分からアウトになる選手がおおいんですって」
 
 「ウチの選手の半分は、ど素人だ。
 ボテボテのゴロでもセーフになりたくて、1塁に向かって全力で走る。
 なるほどねぇ。ベテランになってくると1塁へ全力で走らなくなるのか・・・」

 「居酒屋の飲んべェ軍団は初登場の初優勝で、まわりをあっといわせた。
 でも驚かせたのはそれだけじゃないの。
 たとえ間に合わなくても一塁へむかって全力で走る姿で、
 もうひとつの感動を産んだのよ」

 「すごいなぁ。ウチのチームの選手たちは・・・」

 「あんた。監督のくせに、もしかして、そのことに
 まったく気が付いていなかったの!。
 もしかして?」

 「うん。君の言われてはじめて気が付いた。
 一塁への全力疾走はそれほど新鮮なのか、へぇぇ・・・驚いたねぇ」


(57)へつづく