オヤジ達の白球 51話~55話
「そうよね。夏バテの時に食べると身体がすっきりするものねぇ。
体を冷やしてしまうので冷え性のひとは、食べ過ぎに注意が必要なのよねぇ。
美容にいいという話も、どこかで聞いたことがあるわ」
陽子の言葉に男がニコリと笑う。
「よくご存じです。シリカという成分は、髪やツメを丈夫にしてくれます。
実はこいつ、薄毛予防にも効果があると言われているんです。
あ・・・けっして先輩の頭を見て言っているわけではありません。
念のため」
あははと男が、楽しそうに笑う。
「あたりまえだ。キュウリなんぞに頼らんで、自力でなんとかするわい。
それより、どうなんだ。
出来たばかりの呑んべェチームを手伝ってくれるのか?。
俺たちにはおまえさんの打力と、捕手の能力が必要なんだ」
「監督さんと、美人のスコアラーさんがわざわざ来てくれました。
必要だから来てくれと言われれば、断る理由はありません。
俺で良ければ、よろこんでお手伝いしたいと思います」
「よく言った。それでこそ俺の後輩だ。
じゃそういうことで、この話は決まりだ。よかった、よかった。万々歳だ。
これで安心して4番を譲り渡すことができる」
「ちょっと待ってください」男が柊をさえぎる。
「じつはちょっとした問題があります。
ソフトボールは春と秋本番の時期に、大会がひらかれることが
多いですよねぇ。
この季節はキュウリの生産がピークなんです。
スポーツに最適な陽気は、野菜にとっても最適の季節なんです」
作品名:オヤジ達の白球 51話~55話 作家名:落合順平