降水確率は100%
「で…どうするのかな? か・え・り」
すまし顔で首を傾げる一子さんに、繁晴君が答えます。
「お前は、持ってきてるのか? 傘」
「当然」
「もしかして、俺の分も…」
「何で私が お馬鹿さんの分まで、傘を準備しないといけない訳?」
繁晴君は、顔を顰めました。
「誰が、お馬鹿さんなんだよ。」
「降水確率100%の日に 傘を持ってこない輩が、お馬鹿さんじゃないとでも?」
「─ 勘違いしたんだから、仕方ないだろ。」
「予報云々以前の問題に、今日の朝の空模様を見れば、普通の人は傘が午後から傘が必要かもと思うものなんでちゅよ? 僕ちゃん」
「僕ちゃん、言うな」
「はいはい」
ぞんざいな返事をしながら 自分の席に戻り、鞄を持ってくる一子さん。
空いている手を、繁晴君の鞄に伸ばします。
「じゃあ、これを持つ」
「?」
「ほら、ちゃっちゃと帰るわよ」
「い…?!」