おえかきギミック
悪魔は妖精や天使と違い、口数が少なかった。悪魔というと怖い印象があるが、私は少しも怖くはなかった。
「ねぇ、悪魔さん…」
「なんだ?」
「私ね、妖精さんと天使さんとも会ったの。」
「そうか…俺と同じように描いたんだな。」
「うん、そう。」
「君の思いが強いからだな。」
「やっぱりそうなの?」
「ああ…」
「だから今日も悪魔さんと会えることを信じて来たの!」
「ありがとう。でもなんで俺みたいな悪魔を?」
「昨日は気分が悪かったの…」
「俺と居ると気分が悪いか?」
「ううん!そんなことない!」
「そうか。」
「うん。すごくすごく嬉しいよ!」
「変わった子だな。」
そう言うと悪魔は少し照れるように笑顔を浮かべた。私もそれがすごく嬉しかった。きっとこの悪魔は、悪魔でもやさしい悪魔だと思った。
「悪魔さんは照れ屋さん?」
「そんなことはない。」
「でも大人しいから…」
「こういう性格だ。気にするな。」
「わかった。」
「君は妖精や天使と同じように俺の存在も信じてたのか?」
「うん!もちろん!」
「ありがとう…」
「でもね…」
「でも?」
「悪魔さんは悪い人じゃないと思うの。」
「どうして?」
「だって私に会いに来てくれたから。」
「そうか。本当に変わった子だ。」
やっぱり私の前に現れた悪魔はやさしかった。口数こそ少ないものの、そのやさしさは伝わってきた。