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おえかきギミック

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先生の声で目が覚めた。
「おはよう、先生。」
「よく眠れたかい?」
「うん。ぐっすり!」
「昨日はまた絵を描いたの?」
「お花畑に居る天使を描いてみたの。」
「見せてくれる?」
「もちろん!」
そう言うと私は昨日描いた天使の絵を見せた。
「おお、相変わらず上手だね!」
「本当に?本当にそう思ってる?」
「ああ、本当に上手だよ。」
「良かった!ありがとう。」
そして先生はほっこりとした笑顔で病室から出た。それから私は昨日妖精と会えたように、もしかしたら天使とも出会えるかもしれない。そう思っていた。期待と不安が入り混じる中、私は病院の庭にあるお花畑へ行った。

この病院の庭のお花畑には色とりどりの花が咲いていた。そこには花の蜜を美味しそうに吸う蝶々が群がっていた。この日もよく晴れていた。私はお花畑を見るようにしゃがみこんだ。そしてここに咲いている花を見ながら天使が来てくれることを信じて待っていた。しかし、なかなか天使は現れてくれなかった。やっぱり昨日の妖精は幻だったのかもしれない。そう思うことにした。だから天気の良い日のお花畑を眺めることだけを楽しむことにした。
それから一時間ばかり過ぎた頃だろうか。耳を澄ましていた私にははっきりと聞こえた。
「リリスさん、お待たせしました。」
私はきっと、いや絶対に天使が私を呼んでいるのだと確信した。
「ねぇ、天使さんでしょ?」
私は聞こえた声に返事をした。
「はい。リリスさんが描いてくれた天使です。」
「やっぱり!」
「私のことを呼んでくれてありがとう。」
「ううん!すごく嬉しい!」
私には不思議な力があるのかもしれない、魔法のかかった絵を描くことができるのかもしれない。そんな思いでいっぱいだった。
「ねぇ、リリスさん…」
「なぁに?」
作品名:おえかきギミック 作家名:清家詩音