オヤジ達の白球 46話~50話
「間違っても走者に触れてはいかん。
ホームインする前に、3塁のベースコーチとハイタッチしただけでも
アウトになる」
「なんだって。味方同士でハイタッチしただけでもアウトになる?。
そんな馬鹿なルールがあるのか!」
「ところが有る。事実じゃ。
ルールブックに、味方が走者の帰塁や離塁を肉体的に援助したと
審判員が認めた場合、援助を受けた走者にインターフェア(守備妨害)
を宣告することができる、とちゃんと書いてある。
走者をアウトにしたうえ、ボールデッドで競技が中断になる」
「手助けを排除して、自力でホームインしなければホームランも、
得点も成立しないということか?」
「うむ。ルールの上ではそういうことなる。
だがな。味方が手を貸せばアウトになるが、敵が手を貸した場合は
おとがめなしじゃ。
わかるかな。わしの言っておる意味が」
「なるほど。味方は手を貸すことはできないが、敵が手を貸しても
ルール違反にはならん。
そういうことですね事務局長。
となれば黙って見ている場合ではないですね。おい。ショート」
なりゆきを見守っていた3塁手が遊撃手に声をかける。
「俺らが手を出してもルール違反にならないらしい。手伝おうじゃないか」
おれたちの肩につかまってくれと、2人の若者が腰をおとす。
「すまんな。助かるぜ。恩に着る」
「いいえ。どういたしまして。人を助けるのが俺らの仕事です。
それに、あそこまで飛んだ大ホームランが無効になるなん
勿体ないかぎりです。
2人でささえます。
ゆっくり3塁ベースを踏み、ホームインしましょう」
3塁手と遊撃手にささえられて柊が立ち上がる。
ゆっくりした歩調を保ったまま、柊が千佳が待ち構えるホームベースへ
戻って来る。
「ホ~ムイン!。4対3で、居酒屋チームさんの勝ちで~す。
おたがい、たいへん、お疲れ様でした~」
(49)へつづく
作品名:オヤジ達の白球 46話~50話 作家名:落合順平