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オヤジ達の白球 46話~50話

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 球場に外野席は無い。
周囲に住宅があるため外野フェンスの上に、高さ6メートルの金網が
張り巡らしてある。
柊の打球が、その金網の最上部へ当たる。
金網で金属音をはなったあと、推進力を失った打球が外野手の後方へ
ぽとりと落ちる。

 「行ったぜ・・・ほんとに打ちやがった!。
 有言実行のサヨナラホームランだ。
 それにしてもよく飛んだな。外野のいちばん深いところの金網に当たった。
 しかも最上段へ当てるなんて、信じられねぇパワーだ・・・」

 3塁を回り、1塁走者だった岡崎が帰って来る。これで同点。
柊はゆったりした歩調のまま、1塁から2塁へまわる。
2塁を回ったところで、3塁の塁審と目が合う。

 「いいものを見せてもらった。
 最後にストレートを投げた投手もたいしたものじゃ。
 だがそれを読んで、見事にとらえたお前さんもすごい。
 しかしまぁ、呆れるほどよく飛んだのう・・・。
 県庁の土木総合職というのは、よっぽど暇な職場のようじゃな」

 「いえいえ。土曜も日曜も仕事で駆り出される職場です」

 「ほう。週末に仕事する公務員もこの世にいたのか。初耳じゃな。
 んん・・・なんじゃ、どうした?」

 2塁と3塁の中間まで来たところで、柊がぐらりと揺れる。
支えを失った柊のおおきな身体が、ぐずぐずとグランドへ崩れ落ちていく。
「足が・・・」柊の顔を苦痛でゆがむ。

 (48)へつづく