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オヤジ達の白球 46話~50話

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 「交渉の件もあるが、それだけじゃねぇ。
 風の便りでこのあたりで、敵前逃亡した坂上が練習していることを聞いた。
 祐介もそれなりには心配している。
 だが声をかけるつもりはない。
 遠くから練習している姿だけ見ておこうということになった」

 「へぇぇ・・・噂になっているのか。坂上の秘密練習が」

 「なにが秘密の練習だ。
 あやしい格好をしたオジサンが、こんなところで毎日、壁に向かって
 ソフトボールを投げていればいやでも噂になる」

 しかし。練習の成果はまったく出ていないようだなぁ、と柊が顔を曇らせる。
動きがぎこちない。油が切れたロボットの様な有様だ。
坂上はもともと運動には縁のない男だ。どちらかといえば不器用の
部類へはいる。

 暴投するたび。壁から跳ね返ったボールを坂上がひろいへ行く。
しかし。その足取りにまったく覇気がない。
疲れた男が足をひきずり、草むらを転がっていくボールを追いかけていく。
ボールを拾い、戻って来る時の足取りにも元気がない。

 「なんだよ。やる気があんのか、あいつには・・・」

 「チェッ」熊がおおげさに舌を鳴らす。
「おまえ。なに傍観してんだよ。手伝ってやればいいだろう。あいつを」
土手に座り込んでいる岡崎を、横目で睨む。

 「手伝う?。俺が?。なんだよ突然、いったいぜんたいどういう意味だ?」
 
 「初心者が壁に向かって何万球投げても、無駄なだけだ」