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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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すきま 探偵奇談18

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たたん、たたん、たたん、と規則正しい揺れと音。瞼の裏が明るい。

「ん…」

眠っていたようだ。何だか、とてつもなく長い夢を見ていたような気がする。

「瑞、おまえやっと起きたのか?」

隣を見る。夕島がいる。電車が停止する。無人の駅。いや、違う。窓の外のホームには、瑞が、自分が、立ちすくんでいるのが見えた。夕日に照らされて。


「言っただろ、もう帰れないって」


ああ、まだ夢の続きなのだろうか。
それとも、繰り返しているのだろうか。


「…おかえり瑞。待ってたよ」


耳元で、嬉しそうに囁かれる。
終わらないのだ、この夕焼けは。






――それは日常の隙間に。

時折音もなく滑り込んでくる異物。



いつもの町。

いつもの友だち。

いつもの会話。



だけど本当にいつもと同じかな?

どこか違う。
何かが違う。

でも何が違うのはわからない。


違和感に気づいたときにはもう遅い。


それを逢魔が時と呼ぶんだよ。


一度迷い込んでしまったら。


抜け出すのは至難の業だ。


魔物に魅入られたらもうおしまい。



も う ず っ と こ の ま ま






END
作品名:すきま 探偵奇談18 作家名:ひなた眞白