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夢幻圓喬三七日

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「いえいえ、東京からは社長しか行きませんが、私も柴田さんの落語を聴きに行きたいくらいです。大阪でもよろしくお願いします。切符の手配と宿泊の件で清水君は残りますが、私はこれで失礼します」
 部長さんが出て行くと早速美代ちゃんが嬉しそうに話しかけてくる
「柴田さん、良かったですね。大阪でも頑張って下さいね」
「ああ、せっかく見込んでくれた社長さんに、恥をかかせるわけに行かないからね」
「大阪では私と同期の、瀬尾という女性が二人の連絡係になります。すでに連絡済みです。切符や宿泊の手配が済んだらそれも瀬尾にも伝えます。宿泊は明日にでも河井さんの家で手配するとして、大阪へはいつ移動しますか? それと帰りの切符ですね」
 てきぱき説明する美代ちゃんも素敵だ。見惚れてしまう。部屋の隅にいつの間にか朝太さんがパイプ椅子に座って、僕をニヤニヤ見ていた。
「久しぶりの大阪なんで、日曜日に行って火曜日に東京へ戻るかな。時間はお美代ちゃんに任せるよ」
「了解しました。明日の午後には切符をお届けします。河井さんはその時に領収書を下さいね」
 そういって僕の十二万円入の封筒を取り上げてしまった。アタフタする僕を師匠が笑って見ている
「それがいい、財布はご婦人が握った方が円満にいくよ」
「ですよね〜」
 こんな事では来週の古銭代金も間違いなく……、いや今は考えたくない。
 四人での帰り道、美代ちゃんと朝太さんがそれぞれ、明日おじゃまします、と楽しそうに言った声が耳に残った。
 心地好い疲れで九日目が過ぎた

作品名:夢幻圓喬三七日 作家名:立花 詢