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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 3 「フェニックス」

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第六話 救出作戦



 軍の極秘通信を使ったことで、リズのハッキング能力に期待したデヴォス少佐は、すぐさまリズ救出作戦を開始した。
 早朝、フェニックス郊外の巨大半導体工場に陣取った防衛本部基地から、装甲車両一台がものすごい勢いで飛び出した。基地を取り巻くメカロイド達を跳ね飛ばして、追いかけて来るメカロイド数体を機関銃で破壊すると、砂漠の荒野に走り去った。遠回りではあるが、リズから指示された地点(クラーク元将軍の家)まで出来る限り近付いてから、街に再突入する作戦だ。

「ついに外に出られるわ。半年以上モグラ生活して、太ったりしてないかしら」
 クラークさんの極秘通信を使って、憧れのデヴォス少佐から返事が来たけど、それが本物の少佐か、それともメカロイドが仕掛けた罠か判断に困った。だから私は少佐自ら救出に来てほしいとお願いしたら、来てくれるんだって。こうしちゃいられないって思ったわ。お化粧しなくちゃ。
 地下室のバスルームでシャワーを浴びたけど、化粧品はここにはない。自宅のバスルームに戻らなきゃ。危険だけど、これだけは女子としては譲れない。
 自宅の鏡に向かって、久しぶりに化粧水を顔にかけた。乾燥が激しいこの土地で、化粧水を半年も塗らなかったなんて、私の顔カサカサじゃない。ボトルの半分くらい使っちゃえ。次は美容液、これもたっぷりと。乳液も塗って、最後に、何かよくわからないから使ってなかったこのクリームも塗っとこう。次はリキッドファンデーション塗って・・・あれ? しばらく日焼けしてなかったから、オークルじゃ、色が濃すぎるかな? 照明を点けられないから色がよく見えない。ま、いいか。次はパウダーはたいて、眉を・・・お、眉毛剃そらなきゃ。シェーバー、シェーバー・・・しぇー!? 電気がないから動かない! 眉剃りは諦めよう。大丈夫大丈夫。太めにすればバレない。眉毛描いて、ちょっとゲジゲジ。アイラインにシャドウ。久しぶりだから、濃い目にしちゃえ。うん、いい感じ。チーク塗って、唇太め。・・・うーんやりすぎたな。

 **ガタッ*・・
 
 リビングで物音がした。誰かいるみたい。
(デヴォス少佐かしら?)
 カタン、カタン、カタン、カタン、カタン・・・
(あの足音は、メカロイドだわ。やっぱり罠だったのかしら。どうしよう、もう今更取り返しがつかない)
「バスルームニイルノハ、分カッテイマス。出テキテクダサイ。危害ハ加エマセン」
赤外線を使われたのね。もう出て行くしかない。私は意を決して、バスルームのドアを開けた。そこには3機の80EXが立っていた。私は焦っていないふりを心がけた。
(落ち着け落ち着け落ち着け。そうだ、コーラでも飲んで時間稼ぎを)
私はキッチンに向かって歩きながら話した。
「ここは私の家よ。あなた達こそ何してるの?」
戸棚に残っていたコーラ缶を取り出して、そのプルタブに指をかけた。
「残存市民ノ救出デス。アナタヲ皆ノ所ニ、オ連レシマス」
「どこに?」
プシュッ! そして一口飲んだ。
「皆ノイル所デス」
2機のメカロイドが同時に前に出て、私の両腕をつかんだ。
(の、飲めないじゃない・・・)
もう終わりだ。後悔・・・地下室を出るんじゃなかった。
 私は家から連れ出された。暫く道路を歩かされ、コーラをゴクリ。どこに行くのかという質問には、「皆ノ所」「モウスグ」を繰り返すだけ。ロボットらしい返答だこと。こんな家の近くに、皆を収容できる場所なんかない。・・・ゴクリ。皆の所って、あの世って意味かしら。ゴクゴク・・・。何とか逃げなきゃ。イザとなったら、またオーバーライドの音声コマンドで逃げればいいんだ。
 それ、面倒な事になる前に、やっちゃった方がいいわね。
「Fab62X-206903・・・あ?」
「何ヲ言ッテイルノデスカ?」
「え? ええ、今日は何月何日だったっけ?」
このコマンドには今日の日付が必要だったのよ、今は3月? 4月?
「特殊コマンドヲ使用スルツモリデスネ。ワレワレの音声コマンドハ解除サレテイマス。モウ使用出来マセン」
(やべ! もうこうなったら)

ダッシュ!!! 

「止マリナサイ!」

 コーラ缶を投げつけたら、缶はそいつのおでこに当たって、宙に跳ね上がった。その瞬間、物陰から3人の兵士が飛び出して来た。リズはメカロイドの追跡を俊敏にかわし、木の枝に跳び付き、身軽によじ登った。
 救出部隊のニール軍曹が放った自動小銃の弾は、たった3発で、リズを追うメカロイドの動きを止め、残りの2機が、ニール達に襲い掛かって来た。3人は乱射し、そのメカロイドらは手足がバラバラになった。

 私は一瞬の出来事に呆気にとられた。自分自身、どうやって木に登ったのかさえ分からなかった。運動音痴だったはずなのに。
 そこへ装甲車が走って来て停まると、中から降りて来たのは、私が待っていたあの人だ。
「ケガはないかい? 私は防衛軍組織のリーダー、ジェイ・ヴァン・デヴォス少佐だ」
その大柄の男は、硬いニヒルな笑顔を見せて、手を差し伸べてきた。私はその手を掴んだまま、木から飛び降りて、そのまま握手した。
「ええ、存じ上げています、少佐。あなたはエイラット紛争の英雄ですから。あなたをモデルにゲームのプログラミングをしたことがあります。あ、失礼。私はエリザベス・メアリング。コンピュータープログラマーです。アンドロイドのプログラム開発をしていました」
「よく無事に生き抜いて来られたね」

 *バッ!

 その瞬間、最初に倒されたメカロイドが立ち上がり、再び私に襲い掛かってきた。気を抜いた一瞬だった。でも私は、その攻撃も咄嗟にかわし、そのメカロイドから距離を取って構えた。

 ★パン!

 一発の銃声で、メカロイドは倒れて動かなくなった。

「ベス、見事な身のこなしだったよ」
デヴォス少佐は、素早く抜いた拳銃を、左胸のホルスターに戻しながら言った。
「ああ、リズと呼んでください。ベスはおばあちゃんの愛称なので」
「すまない、リズ。君はアンドロイドを制御する方法を知っているようだね」
「はい。プログラマーだけが知っている隠しコマンドがあったんです。それを使えば一時的には、80EXを制御できるはずだったんですが、今はもう使えなくなったようです」
「そんなコマンドが存在していたなんて、誰も知らなかったが」
「ええ、このコマンドは、80(ハチマル)のプログラム開発をしていた者にしか与えられていない特別な権限ですので、同僚もそれを知りません」
「君には全メカロイドのプログラムを書き換えることは可能だろうか」
「いいえ。それはできません。全メカロイドに個別に行う必要がありますから」
「他に方法はないわけか」
「ネット接続できるPCがあれば。しかも、敵に検知されず、制御プログラムを流せるような」
「それならコンピューターワクチンを試している。しかし、まだ成功はしていない。君ならそれ以上のものが作れないか?」
「軍が開発したワクチンなら、私のなんかより強力なはずなのに」
私は自信があったけど、ちょっと謙遜して言ってみた。
「いいや、今の軍は幕僚本部と連絡も取れない孤立状態で戦っている。ワクチンは民間人が作ったものだ」
「どんな人が作ったのですか?」