L K 3 「フェニックス」
「ケニー! 見て! 私を見て!」
私は彼の顔を両手でつかんで話した。
「私達には子供がいるの。現実の子達じゃないけど、私がプログラムした世界に、私達の子供達が暮らしてるのよ」
ケニーはようやく目を開けて、私を見てくれた、恐怖におびえるその瞳は、私の理想としていた彼の眼差しとは全然違ったけど。
「こども?」
「そうよ。彼らは幸せに暮らしていたわ。私が作った世界に対して、私は責任を持ちたい。あなたは自分が引き起こした、この世界のトラブルを解決することに、責任を持ってちょうだい」
ケニーは床に視線を落とし、黙って考えているようだ。
「リズ! ケニー! 早くアンテナを! (★ガン!)あうっ!」
「ニール!!!」
ニール軍曹は胸を撃たれて、よろめき倒れ、一瞬私の方を振り返った。胸に着いた弾痕から、うっすら煙が見える。
「大丈夫だ、防弾ベストだ。俺達が盾になるから、早くしてくれ」
それを見たケニーが、アンテナを組み立て始めた。私も急いでそれを手伝ったけど、そうしてる間に、兵士が一人、また一人、被弾して倒れていく。ホロチャンバーを守る隊員も、同じように数が減っていった。
「これじゃ間に合わないわ」
私はマダム・スーを見た。・・・? 彼女が手招きをしている。何か言いたそうだわ。私はまた銃弾の飛び交う中を、ダッシュでホロチャンバーに駆け戻った。
「どうしたの!?」
「アナログ・・通信で・・は、間・に合わ・ないので・はございま・・・せんか?」
「あとどれくらいかかりそう?」
「まだ、14%・です。この・・状況では、何時・間かかる・・・か不明でござい・ます」
「ああ! どうすればいいの!」
「私が・・アンドロイドに直接・話しか・・けられれば、よいのでご・ざいますが」
「直接? 大声でも出すっていうの?」
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)