L K 3 「フェニックス」
私達は、15分ほど歩いただろうか、坂を上り、緩やかな丘に差し掛かった。
「ねえ、私達どこに向かっているの?」
「申し訳ありません。コロニーはこの丘の向こうなんです。着陸船が近付くと、家畜達が暴れるので、遠くに着陸することにしています」
すると丘の上に、馬が一頭現れた。その馬に誰か二人乗っている。
「あ、Cue(キュウ)様達ですわ。後ろに乗っておられるのが、Mieux(ミュウ)様です。エル様のご長女様です。もう14歳になられました」
(私とケニーの子供・・・いや、そうじゃないけど、可愛い女の子だわ)
「お二人は、セカンドロイド初のカップルです。サードロイドの誕生も、きっとすぐでしょう」
(ほう、もうすぐ、私の孫まで生まれるんかい!)
「キュウって、だいぶ年が離れてるのね」
「はい、科学から戦術まで、経験豊富な方ですから、いい父親になられますわ」
するとジェイが、
「ああそうだ。俺を起動してくれたって意味では、生みの親でもあるからな」
「あ、ジェイ様。またジョークがお上手に」
(アンドロイドがジョークですって? 何この世界?)
馬が近寄ってきた。
「あ、あは、あは、あははははは・・・」
(ミュウが笑った。アンドロイドなのに、どうして笑えるの?)
私は呆気に取られて、立ち止まった。
「リズ様? どうされましたか?」
「いえ、この子、笑ってるし」
「だって、ママにそっくりなんだもん」
とミュウが言うと、キュウも笑いながら、
「ケイが言った通りだったね。そんなことないだろうって思ったけど、正直びっくりしたよ」
(びっくりした?)
「ひょっとして、あなた達アンドロイドにも、感情があるの?」
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)