L K 3 「フェニックス」
着陸船が下りた場所は、ちょっと開けた草原のような場所で、スペースポートと言えるような施設ではなかった。周囲には植物が生えているけど多肉植物ばかりで、乾燥がひどいフェニックスの気候に似ているみたい。気温は心地いいくらいだけど。
「ねえ、ルージュさん。この星に人間は住んでないの?」
「“さん”は必要ありません。アンドロイドは、人間に仕えるために存在していますから、でもこのアップルには、人間はいません。あなたが初めての訪問者です」
ルージュは私を手招きで先導して、草原を歩き出した。ジェイがその後を付いて来る。
「じゃ、アンドロイドは何機存在しているの?」
「機種は様々ですが、現在186機稼働しています」
「186・・・。皆ここで何をしてるのかしら」
「開拓です。人が住みやすい星にするのが、私達の希望です」
「希望?」
「はい、エル様がこの星の開拓を始められて、最初に願われた希望です」
「エルって、あなた達にとって、どんな存在なの?」
「エル様は創始者であり、母であり、リーダーです」
「リーダーはケニー・・・いや、ケイじゃなかったっけ?」
「そうです。ケイ様はエル様のご主人様でいらっしゃいますから、お二人がこの星の指導者です」
「それって、もしかして、二人は結婚してるってこと?」
「その通りです。とてもお似合いのご夫婦です」
(ケニーと結婚かぁー。無理、むり、ムリ、MURI。今となっちゃ、どう考えてもあり得ないわ)
「お子様も9人儲けておられています」
「子供? 二人はアンドロイドなんでしょ?」
「そうです。ご存じではないのですか? お二人はSS3200の体をお持ちですから、セカンドロイドをお作りになれます」
(なんという・・・面白い設定だこと)
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)