L K 3 「フェニックス」
第十二話 惑星アップル
Beep.Beep.Beep.Beep.Beep.Beep・・・
「宇宙船が接近して来ます」
イエロービーが、長距離レーダーに映った船影を確認した。彼は80EX型メカロイドである。
「どんな種類の船だ?」
SS3100戦術型バイオロイドのJ(ジェイ)が聞いた。
「恐らくSOKUDO級光子帆船です。旅客船は武器を装備していません」
「到着まであと、32時間くらいだな。警戒を怠るんじゃねえぞ」
ジェイの報告を聞いて、早期警戒管制室にK(ケイ)が駆けつけた。彼はこの惑星アップルのリーダーで、科学者型のSS3200バイオロイドである。
「呼びかけてみよう」
イエロービーは、通常通信回線を開いた。しかし、接近船からの反応はない。
「長距離スキャンではまだ、生命反応も確認できません」
「またアンドロイド船だろう」
ケイはそう言ったものの、次の行動には慎重になった。なぜなら、太陽系からの訪問者には、最大級の警戒体制を取る事にしている。それは、相手を撃沈する事も想定していたからだ。
(またエルの胸騒ぎが大きくなるな・・・)
「他の回線でも呼びかけ続けるんだ。・・・念のため、迎撃体制を」
「こちらは惑星アップル管制室、接近中の旅客船、応答してください・・・・・・」
「あ、痛って!」
私は初めての人工睡眠から覚めて、体が思うように動かせない。船は自動操縦で航行中。乗客は私一人。この船をチャーターするのに、年収の250年分が必要だった。仮想現実なのに、クレジットで引き落としされちゃったけど、現実世界の口座にリンクしてんじゃないでしょうね。軍に払ってもらえるかしら?
コクピットにたどり着くと、目の前のパネル操作方法がよく分らない。私は操縦なんか出来ないし、今から勉強しろってこと? 途方に暮れそうになった。こんなんで、無事惑星アップルに到着できるのかしら。
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)