L K 3 「フェニックス」
私はこの事態に冷静ではいられなかった。彼のことが信じられなくなりそうで不安だったけど、確かめなくてはならない。その相手はケニー。
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「実は君のPCから、盗んだんだ。本当にすまない」
ケニーがニール軍曹に呼ばれて、意外に素直に白状した。彼なりに事の重大さを解っているようだわ。
「私のPCを勝手に見ていたってこと?」
「そうなんだ。すまなかった。君の才能がうらやましくて、プログラム開発のヒントを得ようと思ったんだ。でも、これだけは信じてくれ。悪用する気なんかなかった。そのシミュレーションゲームに、僕がキャラクターとして登場するを見付けて、君の気持ちを知ってしまってからは、僕も君のことが。解ってくれるだろ。リズ」
「何言ってんのよ! 気色悪い!」
私はケニーの頬を思いっきり殴り飛ばした。その腕立て伏せで鍛えてた腕力で、ケニーは床に倒れこんだ。
「犯罪よ犯罪! 上司のすることじゃないわ。まさか盗聴や盗撮までしてないでしょうね!」
二ール軍曹が止めに入った。
「ケニー、インフォン社はリズが作ったプログラムを使って、一体何をしていたんだ?」
「社はこのPTCで、3Dキャラクターを育成して、現実とのギャップを計算するデータ取りを行っていた」
「私に内緒で勝手にそんなこと。そのおかげで、マネージャーに昇進できたのね!」
「すまない。リズ。社の命令だったんだ。決して計画していたわけじゃないんだ。こんなことになるなんて、想像もしていなかった」
「そのプログラムが、どうやって現実に影響を与えてるって言うの?」
「数々のシミュレーションプログラムを作ったが、リズのプログラムは特別だった。ストーリーに行き詰ることなく、自由に展開し続けていたから、終了させずにバックグラウンドで延々と継続させていたんだ」
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)