L K 3 「フェニックス」
そして私達は、ゴーストタウンと化した旧市街のインディアンビレッジ駅に着いた。ブラボー小隊の隊員は素早く装甲車から降りて、周囲を警戒しながら装備を担いで展開、駅の入口までの導線を確保した。私はケニーと一緒に、二ール軍曹に先導してもらいながら、階段まで走った。そこからの通路は真っ暗。そして隊員のフラッシュライトに照らされた駅構内を走ったけど、周囲にはメカロイドはいなかったみたいで、何事もなくプラットホームまで下りることができたわ。さらに地下軌道を歩いて、スコッツデールステーションに近付き、ファッションモールの地下通路を通って、排水トンネルから私たちのPTCビルにたどり着いた。
ビルの階段は37階まで歩いて上るしかない。ニール軍曹はさすが。37階まで一気に駆け上っても平気だったみたい。私も体鍛えてたけど、最近はさぼり気味。それでも結構大丈夫。ケニーは隊員におんぶされ、遅れてやって来た。
そしてここが“ホログラムデッキ”。ドアは爆破されて開いていた。私達より先に、熱核反応電池を運び込んだ分隊が中にいたから。
そのフロアの中央に、大きなドーム状の施設が設置されている。すごく高価そうな設備。
(これが、ホログラムチャンバーか・・・)
暗くて大きさがハッキリ分からなかったけど、中はバスケットコートぐらいの広さがありそう。
「ケニー、バッテリー接続は済んでいる。君が電源を投入してくれ」
ニール軍曹が指示した。ケニーは、ホロチャンバーの側に設置された部屋に入った。そこがオペレーションルームのようね。
(それにしても、慣れてるわね)
ケニーはやはりここで、企業機密に関与したことがあるんだわ。
「装置電源、入れます!」
ケニーは大声で言った。あんまり大声出すと、メカロイド達に気付かれそうなのに、インフォン社の安全ルールでは、周囲に知らせるために大声を出すことになっている。
『前回シャットダウン時二、異常終了シマシタ。原点復帰ガ、必要デス』
コンピュータ音声でアナウンスが流れた。ケニーは、
「装置を原点復帰します!」
また、大声。
数分間、静かに機械が動くような音が聞こえて、オペレーション装置の表示が、点滅したり色が変化したり。
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)