L K 3 「フェニックス」
そこには、捕獲した人間から肢体を切り取り、外科的な手術でつなぎ合わせて、身体能力の高い人間を作ったことを示す内容が記されていた。
「人間が捕まえられていたのは、バイオロイドを作るための材料だったのよ。必要な部分だけを使って、不要な部位は大地の肥料として、再利用されていたんだわ」
「なんてことだ。リズ、君はもうこの調査から降りたほうがいい。君には負担が大きすぎる」
ケニーは私を気遣って、そう言ってくれた。
「ありがとうケニー。でも、もう一刻の猶予もないわ。私達が食い止めないと、人間がロボット達に材料として、収穫され続けるわけには行かないから」
ケニーは私を抱きしめながら、震えていた。私は強い意志を持って、臨まないといけないと感じた。
「やった。これに違いない! マザー・スーの一番最初の記録はこれよ」
バイオロイドを手がかりに、私はついにマザー・スーが存在する証拠を突き止めた。でも・・・その場所は、PTC(プロセス・テクノロジー・センター)。
「私達が働いていたビルだわ。ケニー」
「やはりそうか。そこでインフォン社は、極秘のプログラム開発をしていたってことだ」
「そんな・・」
ケニーはとても悔しそうな顔をしながら話した。
「リズ、君は何も知らなかったんだ」
「あなたは知っていたの?」
「極秘機密だった。究極のAIのシミュレーションが行われていたんだ」
「どの部署がそんな研究をしていたの?」
「コア技術部の3Dホログラムデッキだ。その階には、極秘のホログラムチャンバーが在ったんだ」
「ホログラムチャンバー?」
「仮想現実の世界を、立体映像で表現する部屋のことだ」
「もう、秘密にはできないでしょ。そこに行って止めましょう」
「それが、電源は落ちて停止しているはずなんだけど」
「どっちにしろ、デヴォス少佐に報告するわ」
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)