L K 3 「フェニックス」
今度はニール軍曹が話し始めた。
「その中心に立つのが、未知の何者かで、メカロイド達はそれを“マザー・スー”と呼んでいる。新世界の創造主として君臨しているようだ」
(マザー・スー? 一体何者? テロリストなのか、それともAIなのかしら)
「その実態は防衛軍にもつかめていない。実在するのか、単にコードネームのようなものなのかも知れないが、そのオーダーによって、メカロイドは残酷に人間を集めては殺害し、死体をリサイクルしているようだ」
「リサイクルって、どういうことですか?」
「つまり、死体は肥料として大地に撒かれている」
「肥料ですって!?」
「ああ、そいつらに感情はない。地球環境の再生のため、人類にその代償を払わせているのだと思う」
「なんてこと? 人類は地球にとって邪魔だって言うの?」
またデヴォス少佐が話し出した。
「その目的も謎だが、もっと興味深いのが、その行為自体に未知のテクノロジーが使われているってことだ」
「未知のテクノロジー?」
「死体を肥料にリサイクルしているのは、DNAから作られた極小サイズのロボットのようだ。DNAナノロボットと呼ばれていて、地球上じゃまだ実現していないテクノロジーなのだ」
「まさか宇宙人の攻撃ってわけ? 馬鹿げてるわ。ハハハハ」
「・・・我々はその可能性も捨てちゃいない」
少佐は真面目な目で私を見て言った。
「じゃ、対抗策はあるのですか?」
「はっきり言って、絶望的だ。我々の武器で使用できるのは、コンピューターリンクから独立させた、ほんのわずかな兵器のみ。兵士の数も圧倒的に足りず、他の師団との連携も難しい」
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)