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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 3 「フェニックス」

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第七話 感動の再会



 防衛基地に保護された私は、地下のメンテナンスエリアに案内された。ここは私が勤めていたインフォン社が所有する半導体製造工場だわ。オフィスエリアの方が快適なのに、皆こんなSub Fab(工場の地下)に潜んで暮らしているんだわ。昨夜までの私と同じね。
 暫く一人にされたけど、若い兵士が無線で話しながらやって来て、私はテントで仕切った部屋に案内された。
「失礼します」
兵士はハッキリとした声で言ったけど、その部屋に唯一人いた人物は、
「何だい?」
と言ったものの、PCのキーボードをたたく手を止めなかった。
「ニール軍曹から、ここへお連れしろとの命令です」
モニター越しに顔が隠れていたけど、私はそれが誰かすぐに分かった。
「ケニー?」
ふいにカタカタというキーボードを叩く音が止まって、彼はゆっくりとモニターから顔を出した。その時の彼の表情と言ったら、それはもう幽霊でも見るような目、と言うより、更衣室を覗き込む痴漢のような顔でじっとして、言葉が出なかったみたい。
 兵士は何も言わず、敬礼をして部屋から出て行った。その後も彼ったら固まったままで、何も言わない。
(ちょっと、何とか言ってくれないかな。これじゃ感動の再会にかこつけて、抱き着けないじゃない)
その沈黙をどうしようかと考えようとした瞬間、彼の手元に置いてあったバスケットのリンゴに目線が行った。
 ケニーはそれに気付いて立ち上がり、半分笑いながら眉間にしわを寄せて、机に置いてあったリンゴを私に差し出した。
(生の食料なんて久しぶりだわ)
私はガブッと、がっつくようにしてそれを食べた。感動の再会?・・・台無しね。