L K 3 「フェニックス」
★パン!
一発の銃声で、メカロイドは倒れて動かなくなった。
「ベス、見事な身のこなしだったよ」
デヴォス少佐は、素早く抜いた拳銃を、左胸のホルスターに戻しながら言った。
「ああ、リズと呼んでください。ベスはおばあちゃんの愛称なので」
「すまない、リズ。君はアンドロイドを制御する方法を知っているようだね」
「はい。プログラマーだけが知っている隠しコマンドがあったんです。それを使えば一時的には、80EXを制御できるはずだったんですが、今はもう使えなくなったようです」
「そんなコマンドが存在していたなんて、誰も知らなかったが」
「ええ、このコマンドは、80(ハチマル)のプログラム開発をしていた者にしか与えられていない特別な権限ですので、同僚もそれを知りません」
「君には全メカロイドのプログラムを書き換えることは可能だろうか」
「いいえ。それはできません。全メカロイドに個別に行う必要がありますから」
「他に方法はないわけか」
「ネット接続できるPCがあれば。しかも、敵に検知されず、制御プログラムを流せるような」
「それならコンピューターワクチンを試している。しかし、まだ成功はしていない。君ならそれ以上のものが作れないか?」
「軍が開発したワクチンなら、私のなんかより強力なはずなのに」
私は自信があったけど、ちょっと謙遜して言ってみた。
「いいや、今の軍は幕僚本部と連絡も取れない孤立状態で戦っている。ワクチンは民間人が作ったものだ」
「どんな人が作ったのですか?」
「インフォン社のケニー・ライアンという男だ」
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)