L K 3 「フェニックス」
第六話 救出作戦
軍の極秘通信を使ったことで、リズのハッキング能力に期待したデヴォス少佐は、すぐさまリズ救出作戦を開始した。
早朝、フェニックス郊外の巨大半導体工場に陣取った防衛本部基地から、装甲車両1台がものすごい勢いで飛び出した。基地を取り巻くメカロイド達を跳ね飛ばして、追いかけて来るメカロイド数体を機関銃で破壊すると、砂漠の荒野に走り去った。遠回りではあるが、リズから指示された地点(クラーク元将軍の家)まで出来る限り近付いてから、街に再突入する作戦だ。
「ついに外に出られるわ。半年以上モグラ生活して、太ったりしてないかしら」
クラークさんの極秘通信を使って、憧れのデヴォス少佐から返事が来たけど、それが本物の少佐か、それともメカロイドが仕掛けた罠か判断に困った。だから私は少佐自ら救出に来てほしいとお願いしたら、来てくれるんだって。こうしちゃいられないって思ったわ。お化粧しなくちゃ。
地下室のバスルームでシャワーを浴びたけど、化粧品はここにはない。自宅のバスルームに戻らなきゃ。危険だけど、これだけは女子としては譲れない。
自宅の鏡に向かって、久しぶりに化粧水を顔にかけた。乾燥が激しいこの土地で、化粧水を半年も塗らなかったなんて、私の顔カサカサじゃない。ボトルの半分くらい使っちゃえ。次は美容液、これもたっぷりと。乳液も塗って、最後に、何かよくわからないから使ってなかったこのクリームも塗っとこう。次はリキッドファンデーション塗って・・・あれ? しばらく日焼けしてなかったから、オークルじゃ、色が濃すぎるかな? 照明を点けられないから色がよく見えない。ま、いいか。次はパウダーはたいて、眉を・・・お、眉毛剃そらなきゃ。シェーバー、シェーバー・・・しぇー? 電気がないから動かない! 眉剃りは諦めよう。大丈夫大丈夫。太めにすればバレない。眉毛描いて、ちょっとゲジゲジ。アイラインにシャドウ。久しぶりだから、濃い目にしちゃえ。うん、いい感じ。チーク塗って、唇太め。・・・うーんやりすぎたな。
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)