L K 3 「フェニックス」
フェニックスの街は、時間が完全に止まったかのように荒廃して、池は干上がり、運河周辺には野生動物達が集まって、その場所をテリトリーにしている。また灼熱の季節が来ると、人が隠れ住む場所も次第になくなって来る。
破壊したメカロイドは、当初は街に放置されていたが、それらは知らないうちに回収され、修理されて、また人を襲って来るようだった。ゆえに人々は、スクラップロボットを安易に捨てられないという負担を背負うことになった。実際、放置したメカロイドのリユースが繰り返されれば、人類の絶滅は確実なものになるとの計算が立っていたので、人類は外来生物に駆逐される弱い在来種と、自らを揶揄して言う者もいた。
ジェイ・ヴァン・デヴォス少佐率いる海兵隊の精鋭部隊が組織する防衛軍も、事態の打開に打つ手がなくなってきているのだった。
「少佐! クラーク退役准将から暗号メッセージが届いています!」
「何だって!? クラーク元将軍が、ご健在なのか!?」
「デヴォス少佐宛の信書となっています」
「どこから送信されている?」
「それが、発信地点が特定できません。ダミーの通信を同時に発信されており、発信源は世界中にカムフラージュされています」
「さすがは元将軍だ。通信の中身を確認することにしよう」
デヴォス少佐は、その信書に自らの個人コードを入力した。そして、モニターにそのメッセージが映し出された。
『ハロー。誰かいる? 私はエリザベス。今一人ぼっちなの。もし誰かがこれを見てたらお返事ちょうだいねw』
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)