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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 3 「フェニックス」

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「それが、インフォン社のプログラマーの話ですと、敵のウイルスは、まるで意思があるかのようで、どんなワクチンを作っても、そのプログラムをインストールした瞬間、異物と認識し隔離されてしまうようです。自分以外のプログラムをまったく許容しないのです」
「それだけ高度なウイルスを誰が作ったというのだ。しかも、それを全世界のメカロイド達に感染させるなど、簡単ではないはずだが・・・」


「よーし、これでうまくいくはず」
 私はクラークさんのPCに、自分のPCを接続した。
 半年振りに自宅に戻った時は、本当に生きた心地がしなかったわ。すぐ隣の家なのに。でも、辺り一帯静まり返っていて、私以外の人間は、もうこの世に存在していないのかも知れないって思った。音を立てないように床を這ってクローゼットに入り、PCを取り出してすぐに戻って来たけど、おバカな私は電源チャージャーを持ってくるのを忘れて、もう一度探しに行く破目に。今度はついでにキッチンから、缶詰とインスタント食品も持って帰って来ちゃった。それと久しぶりのコーラも。意外にやるでしょ私。
 それから3日で、クラークさんのPCの厳重なプロテクトを解除することに成功した。でも次なる問題があった。そのPCの通信アプリは、私も見たことがない軍専用のものらしい。これを使ってもいいのかしら。これはいいか悪いかじゃなくって、メカロイドに見付からないかが心配なわけよ。発信地をカムフラージュする方法を考えなくっちゃね。でもどこに連絡すればいいのかしら。
 クラークさんのアドレス帳を開いてみたら、見覚えのある名前があった。
「よっし! この人に連絡してみよーっと」
『ジェイ・ヴァン・デヴォス』海兵隊のイケメン英雄将校だわ。テレビで何度も見たことがあるナイスガイよ。そう言えば、ケニーとの恋愛シミュレーションゲームにも、彼をモデルにしたライバルのキャラクターをプログラムしてたっけ。それ、私のPCがあるから、久しぶりにプレイしたくなっちゃった。

 この頃、能天気な一人を除いて、全世界で人類は、まさに絶望の淵に立たされていた。武器を持つ人間はことごとく殺され、無抵抗な人達は、どこかに連れて行かれ、そのまま帰っては来なかった。人類はわずかな戦力で自警団を形成して、メカロイド達に抵抗を繰り返す日々だった。