L K 3 「フェニックス」
半年が過ぎた。腕立て伏せ100回、腹筋300回、スクワット1000回。これが毎朝のルーティーン。その後、PCの解析を夜まで続けて、かなりシステムが解ってきた。あと少しでセキュリティを突破出来そう。
「そうか、解かったわ。パスワードじゃなくって、解除キーが必要なのね」
きっとクラークさんは、プロテクト解除用のカードか何かを使っていたはず。でも、それが手に入らないと、セキュリティプログラムは突破できないわね。諦めるしかないの?
「いいや。まだ方法がある」
でも、それは危険だなぁ。私のPC。クローゼットに仕舞い込んでるやつ。あれならきっと起動するし、このPCに繋いで、セキュリティ解除させられると思うのよ。
それから一週間、私は腕立て伏せ200回を目指すだけの日々を過ごした。クラークさんのPCのプロテクト突破は諦めるしかないのかな。でももう半年以上こんなことをしていて、未来はない気がしている。唯一の希望だったのは、このPCの画面が当初、何らかの通信アプリケーションが立ち上がっていたということ。それはどこかと通信出来る可能性があるような気がする。
「やっぱり、行くしかないわ」
これは自殺行為とも思えるけど、自分の家にPCを取りに戻ることにしよう。
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)